SIGH 「Scorn Defeat」 [S]
一気に1stアルバムまで遡ってしまいました。1993年作です。
私が購入したのは2014年にHammerheart Recordsより再発された2枚組です。
皆さんもご存知かもしれませんが、このアルバムはMAYHEMのギタリスト、故Euronymousの運営するDeathlike Silence Productionsからリリースされています。
(といっても、リリース後すぐEuronymousはBURZUMのVerg Vikernesに刺殺されてしまったため、Deathlike Silence Productionsはほどなく解散。引き継いだVoices of Wonder Recordsからリリースされています。)
1stということで音質が悪かったりするのかな?と思いながら聴き始めましたが、若干のチープさはあるものの思ったほど悪くなく意外でした。
全体を通して見ると、スピーディーに疾走するパートはそんなに多くなく、スローもしくはミッドテンポで進む曲が多い印象です。曲によってはドゥームメタルのように感じるものも。#1“A Victory of Dakini”のジャズっぽいギターソロの部分では、やりたい事に技術が追いついてないような感じで若干グダグダになってて少しズッコケました(笑)
ザラザラした感触のギターが“恐怖感”を演出し、所々に効果的に現れるピアノの音色が“美しさ”を醸し出しています。このピアノの使い方がほんと効果的ですね!この後、作数を重ねるにつれて、ピアノだけでなく、色々な楽器が効果的に使われるようになっていきますが、既に1stの頃から現在に繋がる基本的な音楽性は確立されていたように感じます。
私が好きな曲はアルバムの中ではスローで異質な曲ですが、後半のピアノソロが美しい#4“Gundali”と、出だしの疾走から続けてピアノの不穏なフレーズが印象的な#6“Weakness Within”といったところでしょうか。
それにしてもvoの川嶋未来はすごい人ですね。
インタビューやコラムを見ると、ブラックメタルの創成期の頃からMAYHEMやBURZUM、EMPERORのメンバーとメールや手紙で交流してたというのだから恐れ入ります。
(Euronymousの死はEMPERORのSamothからの手紙で知ったなんて物凄い話ですよね。)
ちなみに、ボーナストラックには1992年作のEP「Requiem for Fools」と1994年作のKAWIRとの7インチスプリットの曲が収録されています。また、ボーナスディスクには未発表のVENOMのカバーや初期のデモ(1990年作「Desolation」「Tragedies」)の曲などが収録されています。
こんなに収録されてると何か得した気分ですね!
#4“Gundali”
#6“Weakness Within”
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